【取材】いわて環境フォーラム2010in宮古-北上高地の環境を考える-

100227a.JPG○日時:2010年2月27日(土)13:00〜15:20
○会場:宮古市「シートピア・なあど」
○主催:NPO法人環境パートナーシップいわて、日本野鳥の会宮古支部
○共催:宮古市地球温暖化対策地域協議会、宮古市
○後援:宇宙航空研究開発機構、岩手県宮古地方振興局

<プログラム>
[Ⅰ]講演の部
  ・演題「崩壊する山林」
   佐々木宏氏(日本野鳥の会宮古支部長)
  ・演題「森林表土の重要性」
   照井隆一氏(森と緑の研究所副所長)
  ・演題「奥・遠野物語」
   遠藤公男氏(作家)

[Ⅱ]展示の部
  ・北上高地に関する写真及び人工衛星観測画像など
うーみーだーよーーーーーー!

会場は真前に港を臨める「シートピア・なあど」。(「この先海」という看板を初めて見ました)
内陸育ちなので海ー!船ー!鴎ー!というだけでテンションが上がってしまいます。
100227f.JPG浮かれてばかりではありません。
まずは1階ホールの「展示の部」の取材です。
こちらでは、赤と青の3Dメガネ(アバ●ーを観た方、あの時掛けたメガネです)で見る北上高地の衛星写真が人気でした。
私も見てみましたが、会場の周辺や山田町の辺りが隆々と盛り上がっているのを立体的に確認できおもしろかったです。
そして、講演の部。
会場はほぼ満席、イスを追加するほどの盛り上がり!
100227b.JPG
100227c.JPGトップバッターは主催者でもある日本野鳥の会宮古支部長の佐々木宏さん。
森林伐採の際に作られる作業道によって、土砂崩れが起こりやすくなっていることを、荒廃が進む宮古市や岩泉町の山々の写真と共に紹介。
また、山をなるべく傷つけずに伐採・搬出を行っている事例も紹介し、方法によっては、山が健全に再生できるのだということを強調していました。
次は照井隆一さんによる「森林表土の重要性」についての講演。
土壌の分類などの基礎知識に始まり、宮古地方の土壌の成り立ちについて専門的な解説を交えた内容でした。
興味深かったのは、低温作用による土壌劣化についてのお話。
北上高地では伐採跡地に、「寒さが直に当たる→霜ができる→融解」のサイクルを繰り返すことで、下の岩が浮き上がる「周氷河作用」といった現象が生じ、土壌の劣化を進行させているのだそう。
伐採の影響がこんな形で現れることがあるんですねー!
100227d.JPG
100227e.JPG最後は、作家の遠藤公男さんから「奥・遠野物語」と題して、鷲猟師との出会いから作家になろうと決意した経緯、「柳田國男も知らない」山奥の伝統、風習など、ご自身が実際に見てきたことや体験を交え、笑いもいっぱいの味わい深いお話でした。
こうした北上高地の先人達が守ってきた「アニミズムの世界」も、近代化によって衰退し、それに伴って数多くの動物の命が失われていることを、ヨタカやクイナなどの動物たちの絵をホワイトボードに貼リ出していくことで参加者に印象づけていました。
「郷土、文化、政治のあり方を、私たちは考えていかなくてはなりませんね」
という遠藤さんのことばが、しみじみとした余韻を残しながらフォーラムは閉幕。

今すぐ森林の荒廃の防止に直結することはとてもできないけれど、まずはこの日知ったことや感じたことを、こうしたブログやもしくは誰かと会った時に伝えていければ、と思いながら会場を後にしたのでした。

 

このブログ記事について

このページは、staffが2010年3月13日 18:02に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「【取材】いわい地域の流域連携交流会」です。

次のブログ記事は「第2回運営協議会が開催されました」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

月別 アーカイブ